2008-08-12

「理数」のすすめ

ダイビングをするのなら、中学高校くらいまでの理数系の知識を完全に忘れているのはまずい、と思うことがある。

自分も偉そうなことが言えるわけではないが、3つだけ笑える(?)経験談を紹介、理解が簡単な順に。実は難しかったりするといけないから、笑いのポイントには(笑)と書いておくよ。

1つめ。インドネシアのある小さな島のリゾートに滞在して潜っていた。この島は広くて浅いリーフで囲まれていて、干潮時にはボートがリゾートの側まで行けない。桟橋がないため、満潮時ならほんの30mくらい歩けばいいのが、干潮時なら最悪300mくらい砂の上を歩く必要がある。

ある良く晴れた凪の日のこと。2本目のダイビングが終わって、島にボートで戻ってくると、干潮だった。正午を過ぎており、お腹も空いた。器材はボートに置きっぱなしにして、カメラだけを手にもって歩き始める。と、私がこの島の常連であることを知っている、一緒に潜ったおじさんが話しかけて来た、「ここでは、いつもお昼に干潮なんですか?」と。(笑)

2つめ。マレーシアのある小さな島のリゾートに滞在していた。ここでは、ハウスリーフで無制限に潜れる。ダイビングステーションには、空気が詰められたタンクがいつも用意されていて、それを勝手に取って、バディがいればガイド無しで潜って良い。

ある日のこと。私と私のバディが器材をセッティングしていると、近くで別のグループがセッティングしながらおしゃべりをしているのが聞こえて来た。
A:「ねえねえ、ここのウエイトってさぁ、日本と違ってポンド単位でしょ。だからこれ、1キロ玉じゃなくて2ポンド玉みたい。」
B:「ふーん。」
A:「だから、日本と同じ数つけるとウエイトがちょっと足りないの。あたし、ちょっと浮き気味になってたんだ。」
B:「へー。」
A:「だから、さっき、その分、BCにホースで水入れたの。そしたらさぁ、ちょうどよくなったよ。」
B:「あったま、いー!」(笑)

3つめ。 -5m での安全停止を開始しようと -15m から浮上中にダウンカレントに巻き込まれた。下は何も無い、ドン深である。何もしないとどんどん水深が下がる。危険だ。ガイドさんと私はすぐに気がついたので、近くの人に水深をキープの合図をしたり、落ちて行く人のBCをつかんだりした。そんな中、一人だけずぶずぶ沈んで行く人が居た。

彼女はのんびりとフィンキックしている。他の人の方を全く見ていない。ダイコンも肩につけてあって全く見ていない。彼女は、すでに -25m くらいに下がっている。ついに、ガイドさんが彼女を拾いに下向きダッシュした。拾った。上がってくる。よかった。 -5m のところにはダウンカレントはなかった。この間、彼女はのんびりとフィンキック。浮力も無調整。

ボートに上がってから、彼女になぜそんなにのんびりしていたのかと聞いてみた。「このダイコン、浮上が速すぎるとピーピー鳴るんですよ。沖縄のインストラクターに、ぜったい鳴らさないように浮上しろっていわれたんです」。肩にダイコンをつけるのも、そのイントラのスタイルの真似らしい。ガイドさんが拾ってくれたのは分かってる?「はい。でも、そんな余計なことしてくれたから、つかまれた瞬間に短くピッて鳴ったんですよ。ほんとですよ。困ります」。(笑)

1つめは、海に行ってる人なら自分の経験から笑えるはずだ。もちろん、潮汐の仕組みが分かってたほうがもっと笑えるが。

2つめは、笑ってもらえることが少ない。「黙ってずっと聞いてりゃ、それのどこが可笑しいんだよ」と本気で怒られたことさえある。

3つめは、たぶん全然、笑ってもらえない。

彼女のダイコンには、水深を測定するために必要な(比較的高価で低精度、低速の)「圧力センサ」だけでなく、(超安価で高精度、高速の)「加速度センサ」も内蔵されている。今どき加速度センサなんてものは、どんなハードディスクにも付いてるくらいありふれたものだからだ。圧力センサの測定値の微分係数(平滑化された、真の浮上速度)が得られるまでの短い間、加速度センサの測定値の積分を瞬間的な浮上速度とみなしているはずだが、積分定数には不定性が。。。

やっぱ、説明、やめとこっと。

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