2009-04-04

PageRank は有向グラフ

この blog の昨日の記事を書いてから、少し調べたり考えたりした。

Blogger の backlink が動いていない件について。実は(例によって)簡単な理由だった。私がお馬鹿だった。以下、分かってる人にはあたりまえだったとは思うが、念のためにまとめておく。

決定的な証拠は、かなり古いが phydeaux3 さんの "Beta Tags Evolution" 2006-10-17
の記事。「2006-10-11 頃に Blogger の仕様変更があって、 backlink widget の中身を javascript で完全に置換するようになった」とある。 上の記事に気がついた理由は、私が backlink widget の中身をいじってもブラウザでの表示に反映されなかったからだ。同じ悩みの人がネット上に居ないかと探して、発見。実際、私の使ってるテンプレートの backlink widget がそのまま表示されるとすると、スコープ外の属性値 data:post.backlinksLabel を参照している部分がある。

Blogger の仕様変更の理由は、 link love という馬鹿なことを誰かが言いふらし始めたためだ。

link love というのは「コメントを付けてくれた人、あるいは、リンクを貼ってくれた人に感謝し、お礼でリンクを貼ってあげる」というものだ。 これがなぜいけないかは、検索エンジンの PageRank を上げるためのスパムに使われるからだ。「リンクするのは簡単だが、リンクされるのは難しい」という片方向性を使って PageRank というのがうまく働いている。 link love はそれを根本から壊す。

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詳しく説明しよう:

2006-10-11 以前の Blogger では backlink の部分のコードがテンプレートに書かれているとおりに動いた。リンク元 (backlink 先) への a タグにデフォルトで付いている rel='nofollow' は、テンプレートをちょっといじれば、誰でも簡単に除去できる状態になっていた。

link love を「良い事だ」と信じた、多くの無邪気な Blogger 利用者が nofollow を外した。 nofollow の外された Blogger ブログをネットの世界から探しだすのは超簡単だ。 nofollow を外すと検索エンジンの送り出すロボットがその a タグのリンクを辿るようになってしまい、 PageRank に影響が出る。

スパム業者はそこに目をつけた。 nofollow の外れたブログに大量にリンクを貼るのだ。すると、自動的に自分が同じ数だけリンクを受けることになる。 始末の悪いことに、標的になった link lover は自分の大昔の投稿に backlink が大量に生じたことに全く気がつかない。コメントに関しては、コメントする側に画像の歪んだ文字を読ませるとか、ブログ管理者にメールで通知するなどのスパム防護処置が可能だが、 backlink spam にはなんの処置もとれない。そもそも Web の構造上、リンクは自由に貼れるものだ。リンクを貼られるたびにいちいちメールで通知されていたらたまらない(スパム業者の標的になったときにめちゃくちゃ大量のメールが届きますよ)。

という事情で、 nofollow が外せないように、ページがロードされたあとテンプレートの該当部分を javascript を使って置き換えるというように、仕様が変更された。

この事件のおかげで、検索エンジンの持つ backlink を公開する機能 (Google や Yahoo! なら link: 演算子) 自体に PageRank を無意味にする可能性がある(☆)ことも分かった。以後、 backlink はほとんど検索できなくなるように、 Google は変更されている。(☆: ブログ業者とスパム業者が結託して、検索エンジンを利用して backlink を実装したら困るじゃないですか。)

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結論: しょうがない。なんか、今日の記事、ぜんぜん楽しく感じない。暗澹たる、とはこのことか。
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Comments 1

さんのコメント...

以上に書いたような結論なので、このブログでも backlink を表示させるという無駄なことは、今日から止めました。