2008-06-27

Watch your fingers

海外でダイビングしていたときの出来事。この日は風があり、水面は少しざぶざぶしていた。

2本潜り終わって昼食のためにリゾートに戻って来たら、潮がちょうど下げ止まりだった。りっぱな桟橋があるのだが、大きなダイビングボートは吃水が深いので着岸できない。こういうときは、砂浜に乗り上げられるような小さなモーターボートを、桟橋沖の大きなダイビングポートと砂浜の間で使い、人間だけ運ぶ、というのがいつもの手順である。

事故が起こった。まっ先に小さなモーターボートに乗り移っていた、英語を母語とする大柄なおじさんが、おしゃべりに夢中になってうっかり、指を2つのボートの舷側で挟んだのだ(フェンダは無い)。痛い。

こういう痛いとき、日本のおじさん(あるいは、おばさん)はどう反応するだろうか?「痛っ。。。(あとは無言でひたすら痛みをこらえる)」ではないだろうか。少なくとも私はそうだ。本当に痛いなら、なおさら無言である。

この英語を喋るおじさんは違った。HURT HURT HURT ... とハイペースで叫び続けたのだ。モーターボートが沖のダイビングボートを離れ、砂浜へ乗り上げ、まわりの人たちに支えられてボートから降り、歩いてしばらくの医薬品の備えがあるダイブセンタに着くまで。たぶん、5分間くらい。大きな白人男性の叫び声である。かなり遠くまで聞こえたに違いない。

夜、このダイビングボート担当のダイブマスタたちがマネージャに叱られているのがなぜか耳に入ってしまった。「事故は防ぐこと。そして、起こってしまったら、きちんと対応しろ」と。おじさんが叫び続けていたのは痛みでパニックになっていたわけだから、パニックを鎮めるのもダイブマスタの業務範囲だった、この場合は。

さて、日本には古来から、痛みでパニックに陥った幼児を鎮める霊験あらたかな呪文がある。今回、これをダイブマスタが唱えなかったのがまずかったと思う。その呪文はもちろん、

「ちちんぷいぷい。痛いの痛いの飛んでけー!」

である。

なお、私が痛がってるときには「ホイミ」「ベホイミ」などでもOK。:)
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