2008-07-25

「最近、どんな本を読みましたか」

おとといのエントリに追加。

たとえば、会社の人事担当の人が、採用の面接を受けに来た人にする質問がある。よくある質問への模範解答のようなものを指南する本なんかも出版されているようだ。

しかし、「人を評価するために質問する」のは同時に、質問された側が質問した側を評価する機会でもある。おまぬけな質問をする人事担当のいる会社の内定は蹴る、あるいは、質問者を試すような返答をする、というわけだ。質問は double-edged sword、相手を切るつもりが逆に返り討ち。天才数学者 Galois に入学試験で「指数と対数について説明せよ」と問うて、あまりにも適切な返答が、かえって理解できなかったため不合格にした学校があるというのは有名な逸話だ。

さて、各種面接でのおまぬけな質問の代表としては「最近、どんな本を読みましたか」があるだろう。こういう練れてない質問をされたら、ひねくれた返答をしてやりたくなる。さあどんな本にするかな。読んだのが最近かどうかなんてわかりゃしないんだから、今までに読んだ本の中から質問者を試すようなものを返答してみればいいのだ。返答が楽しいぞ。

おとといのエントリに書いた『狗子仏性』というのは禅の公案で、この手の物があるというのを最初に認識したのは、京極夏彦の「鉄鼠の檻」という本だ。京極夏彦の著作はほとんど全て読んでいるが、やはり最高傑作はこの本。もうこれを越える作品は書けないだろう。この本を読んだおかげで、禅に関する本やら仏教に関する本を当時けっこう読みあさった。

というわけで、やる気のない質問「最近、どんな本を読みましたか」に不真面目に答えるなら、私はこれにしておこうかな。たんなる流行作家の作品と見下すようならそれでいいし、もし内容について聞かれたら禅の話にしちゃったりして質問者の世界観を探れるし。

あ、そっか。このダメ質問をした時点で質問者はアウトだった。
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