2008-08-24

西表から撤収


今日、西表から帰宅する。

7日間、毎日3本ずつ潜った。それでも足りないくらい楽しかった。また来なきゃ。

私は、水中で、一眼レフのデジタルカメラで撮影している。銀塩カメラからデジタルカメラに切替えたのは3年前にすぎない。もっと早く切り替えれば良かった、遅すぎた、と思っていた。

ところが、今回、興味深いことがあった。私自身が宇宙人になってしまった、という感覚さえ覚えた。

このダイビングサービスでは、常連さん(年配者が多い)やスタッフ(若い)は、カリスマ的なオーナーの影響を受けてて、未だに銀塩カメラが主流で使い続けられていたのだ。もう廃版の機種をわざわざ中古で買い求めて使っている人もいる(写真の Nikonos RS は製造中止のだいぶ後に入手した中古で、新品の定価の倍の値段だったそうだ!)。この世界では、私のようなデジタル一眼使いは異端、あるいは、邪教の神を信じる者。クラシック好きの集団にパンクロック好きが紛れ込んだと言ってもよい。すでに持っている D20 を売り払って、どうにかして F4 を入手しようと思う、という若い人も居たし。カメラを6台持ってきているという人も居たし(水中では、銀塩カメラは1台あたり36枚しか撮れないが、カメラを同時多発的に持ち込むことで解決できる)。

ま、自分がそれで良ければ、何を使ってもいいんだと思う。同じ「道路」をフィールドとして車とバイクが走ってて、どっちが好きとか、どっちも好きとかいうようなものだ。(注:ここで、「車」は、道路交通法でいう車ではなく、一般的な意味として使ったよ。)

でも、レコードとCD、真空管と半導体、ブラウン管とフラットパネル、って比較の方が適切か。

ただ、私の機材を見るなり馬鹿にしてくれた客が一人居たので、この記事は彼を晒しものにするために書いている。お道具が何らかの基準で正統的でないという理由で所有者を馬鹿にするのは、相手に嫌われる最短ルートだ。権威主義とか事大主義とも言う。あ、「うみうしのしゃしんとるのがだいすきでーす」と私が一言追加すれば面白かったなあ。動かない被写体しか撮れないへたくそとして、さらに失礼なことを言ってくれただろうに。ちなみに私は、病的なウミウシ好きですが、それが何か?(笑)

(実は、ウミウシは足が速いし、綺麗に撮るのは難しい。眼点のないやつだとどこにピント合わせるか、って自由度があって、写真の出来を大きく左右する。それ以外に、何にくっつけるか、って自由度もあるんだけど、それは言わない約束。)

私は、誰かに褒められようとかどこかのコンテストに入選しようとか思って写真を撮ってるわけじゃない。そんなの所詮、相対評価。写真は、自分の撮影技術が向上するのが自分でわかる、という絶対評価でとても楽しいのだ。

デジカメだとランニングコスト0円で、この楽しみが味わえる。シャッタを押す回数が多い(ときどき、1ダイブで銀塩カメラ6台より多かったりしますよ。笑)から向上も速い。現像しないで撮影直後に結果がわかるから、自分というシステムへのフィードバックもタイムラグ無し。

銀塩とデジカメは撮影技術的には流鏑馬とクレー射撃ぐらいの違いがある。被写体も、コストを考えたら到底狙う気にならないものが、コスト0円なら平気で狙える。今のところ私は、動きの速い、1cmクラスの幼魚の撮影に、はまっている。

連射のできる銃を弓矢のように使うのは、その性能を生かしていない。どんな道具にもそれを使う上手、下手はあるのだ。
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