2008-09-11

パラレルワールド


とても恥ずかしいことだが、かなり最近まで知らなかった。

駅のホームで、「ピーン、ポーーン」とか「ぴよぴよぴよ」という音がしているのには気づいていた。しかし、なんでそんな音がしているのかを知らなかったのだ。

「誘導鈴」と言うそうだ。目の不自由な方のために、音で階段やエスカレータなどの位置を示すためにある。

上の写真は、JR 横浜駅の誘導鈴のスピーカ(写真中ほどのすこし上側の白い箱)。このスピーカから音が出ていて、この先に階段があることを示している。実際、このスピーカの真下を通過すると、音は聞こえなくなり、足元には点字ブロックも設置されていて、階段のはじまりが見なくてもわかる。

私は目が見える、ところがそれが邪魔をして今までずっと見えなかったもの(誘導鈴)があった。というわけだ。

要するに、この世界はパラレルワールド。上で述べた、目が見える人にとっての世界と、不自由な人にとっての世界は、そのほんの1例だ。実は、何事もそうなんじゃないかと思う。パラレルワールドの1つの世界の住人が、他の世界に関して少しでも気づくことは稀なのではないかと。

(注意:この記事は、多数を占める健常者が少数派である障害者のことを分かってあげましょうという趣旨で書いてるわけではない。それはもちろん重要だが、ここでは別のことを説明するための例にすぎず、もっとずっと抽象的な議論を展開している。)

というわけで、パラレルワールドの別世界を垣間見ることのできる「超能力」(スターウォーズ風に言うと "the Force")のある人は、他の人に別世界の情報を広める義務がある、と思う。分かってもらえない可能性もかなり大きいが。でも私は、ぜひ、パラレルワールドのことを知りたい、と思う。

っていうと、 SF の影響受けすぎで、おおげさすぎ?

付記: 昔、電気工学の教授が「実数の公理」を馬鹿にしているシーンに出くわした。何も言わずに、そっとしておいたけど、これが典型的な例。実数が現実世界として「どこにでもある」ために、それが邪魔になって、見ることの難しいパラレルワールドがあるのだ。公理化によって、他のパラレルワールド(距離空間の概念とか、完備化とか、その他いーっぱーーーい)がだんだん見えてくるのにな。「公理化」というアイディア自体がパラレルワールドのものだしね。

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