以前、ナイトダイビングの後、質問されたことがある。「白い砂地の表面に、たくさん居てすごいスピードで動きまわる。大きさは7mmくらいで、色は黒。形は矢印みたいで、▲の2頂点には眼球らしき丸い突起がついてる」この生き物は何?と。
質問者はその謎の高速矢印生物の写真を撮っていた。ただし、全部がピンぼけ、画面上で中央に写ってすらいない。とにかく動きが速い、らしい。
一晩、考えた。だってそんなのが居るなら私も気がついていそうなもの。同じナイトダイビングで私が砂地で撮影したものを改めて検討したりもしてみた。そんなにたくさん居たなら私のにも間違えて写ってるかも、と。
写ってた。綺麗なカニの「甲羅の上」に、小さな透明なエビがたくさん。
つまり、砂の表面から3cmくらい上空にたくさん居る、ちいさなエビの「影」が、小さな黒い矢印の正体。影だからライトを動かせばすごいスピードで動く。ストロボ使って撮影するのは影が別の場所に瞬間移動するだけだ。透明なエビでも眼球は透明じゃないし、頭やら内臓はちょうど矢印みたいな形だ。
と、翌朝、質問者にお答えしておきました。納得してくださいました。(笑)
でも、この質問者、レベルが高いと思う。まず、黒い矢印の存在に気がついた点が偉い。そして、写真を撮って、質問した点。
「これは何?」という好奇心、とっても大切。
ところで、上の写真は、ウミウシの図鑑の、あるページとその影。図鑑の著者の夫人が父島にいらしてたし、このページの内容(Dendrodoris iris)がなんとなく気にいったから、今回の記事の写真に採用。
Iris はギリシャ神話に登場し、神のメッセージを伝える。虹の形をしてるらしい。転じて、虹そのものや目の虹彩も意味するようになった。複数形は irides。なんでここまで調べたか。今、狙ってる被写体があって、関係するから、ちょっと引っ張って、この blog の伏線に。
って、撮影困難なやつだから、挫折したら伏線は意味不明化だが。次回以降を乞うご期待。
未来へのリンク:2008年12月30日に記事。結局、ひどい写真しか撮れなかったけど。
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