2009-01-13

COLREGs

前から微妙に気になっていたのが海上衝突予防法という法律の次の部分の内容だ。

(帆船)
第12条 2隻の帆船が互いに接近し、衝突するおそれがある場合における帆船の航法は、次の各号に定めるところによる。…(中略)…
1.2隻の帆船の風を受けるげんが異なる場合は、左げんに風を受ける帆船は、右げんに風を受ける帆船の進路を避けなければならない。
2.2隻の帆船の風を受けるげんが同じである場合は、風上の帆船は、風下の帆船の進路を避けなければならない。
3.左げんに風を受ける帆船は、風上に他の帆船を見る場合において、当該他の帆船の風を受けるげんが左げんであるか右げんであるかを確かめることができないときは、当該他の帆船の進路を避けなければならない。


海上衝突予防法が基にした国際法にも全く同じ条文がある。これは国際的な約束事なのだ。

ルール1と2は排他的状況であり、衝突するおそれがある場合にはどちらかに必ず当てはまる。ルール1も2も基本ポリシーは同じで、「舵の効きやすい船が進路を譲る」という思いやりだ。 ルール1の方はそう思えないかもしれないが、昔の船は右利きの人が操船しやすいように右げん (starboard = steer+board) に舵板があったため、右げんに傾いている船のほうが舵が効きやすかった 。

気になっていたのはルール3。「当該他の帆船の風を受けるげんが左げんであるか右げんであるかを確かめることができない」というのはどういう状況だろう?なぜこんな規定があるのだろう?

実は簡単なことだった。まっすぐ風上やその近くの向きへ進める帆船は物理的に存在しないのだから、「当該他の帆船」がほぼ真後ろから風を受けている状況しか「風を受けるげんが左げんであるか右げんであるかを確かめることができない」ことはありえない。この状況なら、帆が進行方向とほぼ平行にピンとはっていたり、進行方向とほぼ垂直だったり、複数の帆を左右のげんに開いていたりと、どっち開きなのかを「確かめることができない」ことが大いにありうる。

というわけで、ルール3で「左げんに風を受ける帆船」は、よくわからない相手が左げん開きならルール2によりその必要はないにもかかわらす、相手が右げん開きである可能性を考慮して、避けなければならない。そういう規定だったのだ。

納得した。

すると、こっちがほぼ真後ろから風を受けている状況では、

a. 相手が右げん開きなら、避けなければならない
b. 相手が左げん開きなら、右げん開きに jibe してしまえば避ける必要はない

(b. で、左げん開きに jibe したら避けなければならなくなる。この場合、どっち開きか分からずに相手も避けてくれちゃうかもしれない)

そういうことだったんだ。知らなかったよー。

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付記:明日のおがさわら丸で、父島へバイクを取りに行きます。いつ帰ってこようかな。(笑)

未来へのリンク:2009年2月17日に関連する話題を書きました。

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