2009-04-06

ぼくはおしつけです

その昔、沖縄県の某所で "いんがんだるま"(標準和名: アブラソコムツ)を食べたことがある。刺身でも、塩干を焼いても、実に美味かった。しかし、アブラソコムツは脂がとんでもなく多く、消化がきわめて悪い。かつて、ネギトロの増量剤として誰かがこっそり使ったことがあり、その結果、脂による集団下痢事件になった。現在では、(当時の)厚生省の通達で、流通/販売が完全に禁じられている。舌にはすばらしい快楽だが、とんでもない副作用がある:まるで麻薬?ただし、自分で勝手に食べる分には法に触れない。

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"いんがんだるま" ほどではないようだが、 "おしつけ"(標準和名: アブラボウズ)という魚もとても脂が多いらしい。ぼうずコンニャクのお魚三昧日記 (2009-04-05) の「クロシビカマスの子を干物に」の記事で "おしつけ" にも触れており、同著者の市場魚貝類図鑑アブラボウズの項目には脂に関する記述もある。

さて、今日、ふらふら歩いていたら偶然、"おしつけ" を発見してしまった。気がついたら、財布を取り出し、切り身を買っている自分がいた。千葉産、 286g で 1200 円。高級魚ですね。

しょうがない(?)ので、夕食は、刺身と煮付けですね。(笑)

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蛇足: "いんがんだるま" の方に関しては、厚生省の通達は憲法違反だとして、最高裁まで争った例がある(以下に引用)。[原文のサイトは、こんなに恒久かつ公共的なものを扱ってるのに、ページのデザイン変更のたびに 404 にするポリシーのご様子。なので、 URL なし。]
判例
平成八年(あ)第一五号平成一〇年七月一〇日第一小法廷決定
要旨:
 アブラソコムツは食品衛生法四条二号にいう「有害な物質」が含まれる食品に当たるか(積極)
内容:
件名
食品衛生法違反被告事件(最高裁判所平成八年(あ)第一五号平成一〇年七月一〇日第一小法廷決定、棄却)
原審
東京高等裁判所
主    文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理    由

 弁護人舩木秀信の上告趣意のうち、食品衛生法四条二号の規定の憲法三一条違反をいう点は、食品衛生法四条二号にいう「有害な物質」の意義が不明確であるということはできないから、所論は前提を欠き、その余は、違憲をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であり、被告人本人の上告趣意は、違憲をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

 なお、アブラソコムツが食品衛生法四条二号にいう「有害な物質」が含まれる食品に当たるとした原判決の判断は、正当である。
 よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項本文により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小野幹雄 裁判官 遠藤光男 裁判官 井嶋一友 裁判官 藤井正雄 裁判官 大出峻郎)        
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Comments 2

さんのコメント...

アブラボウズ、食べ終わった。すごい美味い。

でも、いつも売ってるわけじゃないからな。次回はいつになることやら。

さんのコメント...

この記事を見た方からの伝聞。

静岡県東伊豆の八幡野ではアブラボウズを地方名で "くろいよ" といい、粕漬けも美味いよ、とのことです。