2009-06-22

どの断面で見るか

自分が見えるもの、分かるもの。それだけが存在しているのではない。

と書くと、超いかがわしいか。

考え方、感性は人それぞれ。普段からそう思っているが、今回のエントリでは 2 つの物事を俎上にあげる。どちらの物事もマイナーすぎるが、この blog では PV とかそんなつまらないことをちっとも気にしていない。昨日のダンゴムシの方が断然、重要だ。(笑)

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1.
中川淳一郎「ウェブはバカと暇人のもの」(光文社新書) という、ちょっと前に、ネット上で大 { | 不} 人気の本を電車の中で読んだ。内容も主張も薄く、繰り返しが多いので、目的地までの片道の暇つぶしに足りず、読破。

こういう意見は本じゃなくて、ネットで無料で読めるように書いて欲しい。内容はそれほど悪くないのだが、新書版1冊にするためにページ数が必要だからと内容を水増しした形跡が露骨。値段 (760円+税) には見合わなかった。

この著者には広告畑以外の知識がないようだ。「ネットはテレビに負ける」と。あー、そういう見方もできるでしょうね。

この著者の定義では、「バカと暇人」の補集合は『頭のいい人』だが、「『頭のいい人』はネットに書き込むなんて無駄なことはせず、ささっと情報を手に入れる場にしている」らしい。あー、そういう『頭のいい人』もいるでしょうね。

で、この著者はネットに対してとっても悲観的になって、
──ネット敗北宣言
という一行で著書をゆるくしめくくっている。あー、そういう風にも考えることができるでしょうね。

ネガティブ思考に陥っているこの著者をとても哀れに思ってしまった。アメーバニュース編集責任者、とっとと辞めて、ネットと関係ないとこに転職すれば?

2.
Wikipedia の 第一種圧力容器取扱作業主任者 の項目に、こんな記述を発見 (2009-06-22現在)。ちょっと長いが引用する:
労働安全衛生法の資格については、一般的には免許が上級の資格とされ、免許所持者に比べて技能講習修了者の権限が狭いことが多いが、第一種圧力容器に関しては次のような関係にある。
  • 最も範囲が広いのは免許でなく化圧技能講習の修了者であり、全ての第一種圧力容器に関する作業主任者になることができる。
  • 次に範囲が広いのは各級のボイラー技士免許所持者と普圧技能講習修了者であり、化学設備関係のものの作業主任者にはなれないが、それを除いた第一種圧力容器に関する作業主任者になることができる。ボイラー技士と普圧修了者とでは法令上の各種の権限は異なるが、第一種圧力容器取扱作業主任者に関する部分についての権限は全く同等とされている。
  • 特一圧免許は、「特定」と冠されるだけあって特殊な扱いとなっている。
あー、そういう断面でみればそうでしょうねー。としか言いようがない。

労働安全衛生法でいう「第一種圧力容器」「化学設備」は、他の法規でいう容器や設備と包含関係にない。つまり、どちらがどちらを含むということはないのだ。むしろ、労働安全法でいう2つの概念は、ボイラー+溶接 で必要になるものに限っている、と言える。


だから、上の引用文中の、"免許所持者に比べて技能講習修了者の権限が狭いことが多いが、第一種圧力容器に関しては(逆である)" は、そういう断面で見ればそうなってるに過ぎない。

たとえ話をすれば、「125cc以下の自動二輪車の世界では、小型限定の普通自動二輪車第一種免許がもっとも広い範囲を持ち、大型自動車第二種免許はその一部である原動機付自転車しか運転できない下位の資格である」という正しいが珍妙な解説と Wikipedia の上の説明は同じレベルだ。

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以上。歪んだ目で見れば世界は歪んで見えるし、歪んだ目以外の目は存在しない。えっ、おまえの目はとくに歪んでるって?よくわかりましたねー。(笑)

注意: 2 に関して、「うだうだ言ってないで Wikipedia の当該項目をおまえが書き直せこのカス。バカ」という貴重なご意見は、スルーだよ。なにしろ、1 の本に書いてあるようなことが起こるかもしれないからねぇ。書き直すも書き直さないも私の自由。
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