2009-09-10

日蔭の村

民主党は八ッ場ダムを本当に中止にするのだろうか。

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むかし読んだ、小河内ダム(奥多摩湖、東京)の建設にまつわるはなし

石川達三「日蔭の村」
新潮社版作品集第1巻所収
昭和47年10月
(初出は『新潮』昭和12年9月)

が本棚の隅にあったので、再読してみた。

この本の内容に関しては、

涼山人のとっておき「遥かな墓標」

のページに詳しい。なぜ、私がこの本を持っているのかという動機もこの方とほぼ一緒だ。奥多摩の山は、私がアウトドアの遊びにはまる原点になった場所なのだ。(今は、私の興味は海に流れてしまったが…。)

また、極楽蜻蛉の読書ノートに記述があるように、石川達三のこの作品はまだ、ダムの一件が進行中に書かれている。作品集に付属の月報によると、もう日中戦争が始まっている戦時下ということもあり、初出は検閲を通すための伏字だらけだったという。

文庫も作品集もどちらも絶版なので、手に入りにくいとは思うが、興味のあるかたにはお勧めしたい。歴史は繰り返す、というか歴史に学ばない愚かな為政者たちの姿が八ッ場ダムに見える。知事やら政権やらが変わるたびに大規模公共事業の行方がころころ変わるようでは、その歪みは弱い所に必ず現れるのだ。

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そういえば、小笠原でも TSL (新型高速船) の就航が中止になった。その関連で融資を受けて、土地買って建物立てて宿泊業を始めた人とかには大打撃だったという。

ころころ変えることで、誰かが儲けているのだろうか。けっきょくは「こころざし」が低い、と言い切っていいのではないだろうか。
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