2009-05-22

偉い人の知り合いは偉くない

この blog の2009-05-19の記事で登場したおじいさんもそうだが、『国連』と言われると、なんだかとっても偉いと思える。自分がおバカなだけなのかもしれないが。

思い出せば、私が高校のときの英語教師の一人が、国連の関連の仕事で通訳をやっていた。というのを、ご本人が当時言っていた。でも、詳細は不明。考えてみれば、「関連」の具合はピンからキリまでありそうだ。で、なんだか、私の英語嫌いはこの教師に始まっているように思う:慣用句をひたすら覚えさせ、ペーパーテストというだけの授業。しかも、私は中高一貫校の途中編入(高校だけ)だったから、3年分のギャップがすでにあり、そんなのは埋められるはずは無し。『国連』の「すごい」人に教わって、点数はほとんどビリ、もう最悪だ、ってわけだ。

もっと楽しい教材を使ってくれていたら、ここまで英語が大嫌いじゃなかっただろうに、と思い返す。慣用句なんかは使われた場面とともに自然に記憶するものであって、それだけを抜き出して例文もなく丸暗記するものではない。

おっと、人のせいにしてはいけなかった。ええ、もちろん私だけが悪いんですよ。ネイティブ以外には絶対に通じないような、単語の意味からは推測のつかないような慣用句、いっぱい憶えてたほうが世界中でのコミュニケーションの役に立ついい英語だものね。(笑)

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そういえば、少し前に奇妙なニュースがあった: "Peace Boat" がソマリア沖で海上自衛隊に護衛されたという話だ。これに関しては、マスコミよりヒロさん日記 の方がまとまっている。自衛隊の方々、タンカーとか他の客船を護衛するならともかく、こんなのを護衛するの、任務とはいえ本当にご苦労さまでした。(誤解のないように:「こんなの」というのは乗客の一人一人を意味していない。 Peace Boat を意味している。)

Peace Boat に乗ったことがある人を知っていた(今は縁が切れている)こともあり、この機会にあれこれ調べてみた。

あ、ピースボートも『国連』を権威付けに使っている:
ピースボートは国連の特別協議資格をもつNGOです

(ピースボートのホームページより。URL はわざと省略。)

うーむ。ピースボートは、国連の、経済社会理事会 ECOSOC特殊諮問資格 Special Consultative Status を持つNGOであることは確かのようだが。

でも、「国連の」は "消防署の方から来ました" 並みの詭弁だ。たとえば、「世界の安全のために働く」って「世界の日本のどっかの町の電気屋さんが工事しにきて家庭内の電気配線の安全のために働く」とは意味が違うはず。(もし、電気屋さんが気を悪くしたらごめんなさい。)

あと、 Consultative Status には General / Special / Roster があって、この順に偉くなくなる。「一般 General」は全体、「特殊 Special」はごく一部、という意味だ。つまり、 Special は「特別扱いされていて偉い」のではなく、完全に逆。

協議(対等に議論する)と諮問(お偉いさんが進言を聴く)も意味は全然違うしさ。。。(汗)蛇足: 英語の語源的には consult は「一緒に座る(語り合う)」というくらいの広い意味範囲を持つ。

こういうふうに「国連」で権威付けして、誤訳すれすれで優良誤認させても、広告して集客しないと儲からない。広告、集客の行為は旅行業法の規制を受けるため、ダミーの旅行会社「ジャパングレイス」がある。よくみかけるグレーな方法だ:旅行業法が厳しい部分は旅行会社としてはやらない(傭船とかね)、でも集客と旅行契約はダミー旅行会社がやってるふり。同じ方法は、海外のダイビングツアー関連でもしばしば見受けられる。普通は問題ないし、(たとえば、自衛隊を喚んだのは誰だとかの)どうでもいい責任はたらい回しできて便利だけど、どっかの会社が潰れたとか、(船が壊れたとかの)各種の本物のトラブルがあったときに旅人との間で揉めまくるだろうな。

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ジャパングレイスの「ホームページ(URLはわざと省略)→ Peace Boat クルーズ → 私たちの目指すこと」に
2001年9月にニューヨークで起きた同時多発テロ事件、そして2003年3月の米英軍によるイラク攻撃で旅行業界が大きな打撃を受けたことに象徴されますように、旅行業は本質的に「平和産業」です。だれもが旅を楽しみ、異国の美しい風景や生活にふれることができるのは、「平和」という前提があってこそ。テロや戦争、あるいは人権侵害、環境破壊などの問題に人々が脅かされる状況にあっては、決して成立することのない産業。それが旅行業なのです。

旅はふつうの人が主役となる「外交」だといえます。ひとりでも多くの人たちが世界を旅し、そこに暮らす人たちと出会い、その生活や歴史を知ること-テレビや新聞の報道では伝わりきらないコトに直接触れること-は、異なる国や環境に暮らす人々との相互理解につながって行くはずです。それが、平和に向けての第一歩であると私たちは信じています。

『旅が平和をつくり、平和が旅を可能にする』。だからこそ、「旅行」という面から、積極的に平和の実現に尽力していきたい。それが、わたしたち(株)ジャパングレイスが目指すことなのです

とあるが、この意見には反対

海外旅行は「経済格差」で成り立っている面が大きく、旅行会社は「世界の情報は分断されている」とか「多発するトラブルの緩衝材として」で成り立っている面が大きいよ。本当に平和でトラブルなんか存在せず、みんながお金持ちで、誰もが知りたい情報を自分の言語で完全な形ですぐ得られるとかいう、いわば「べた凪」の世界では、みんなが個別に(お金に糸目をつけずに)予約をとって旅行してしまい、手数料で商売している旅行業は成り立たないし、不要。そんな平和な世界では悪徳旅行会社を防ぐためだけに存在する法律「旅行業法」は無くなっているはずだ:クルーズでさえ船会社が募集すればいいし、現地ツアーは着いてから各自がガイド業者さんにお願いする、ってわけだ。あ、現地ツアーは JTB さんへ丸投げでしたっけ、ジャパングレースさんとこは。

と、私が大まじめにならなくても、消費者保護のためにある旅行業法が仮に無かったら、本体の Peace Boat で広告と集客ができるんだから、志の低いダミー会社自体が存在しないでしょ?実際、 Japan Grace と組む(買い取った?)以前はそういう違法状態だったわけだし。それとも、たらい回しのメカニズムのほうが必要なの?

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以上、まとまりのない文章でした。
結論: 『国連』と自称するものに注意!

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参考までに付記(2009-05-23): (国連のホームページの FAQ より)
Q. How many NGOs are there in consultative status?

Currently there are 3051 NGOs in consultative status with the Economic and Social Council (ECOSOC), and some 400 NGOs accredited to the Commission on Sustainable Development (CSD), a subsidiary body of ECOSOC. NGOs in the CSD roster need to contact the NGO Section of DESA in order to apply to consultative status.

...(中略)...

Q. Are NGOs in consultative status part of the UN?

No, they are not. They are not representatives or agents of the UN, nor are they authorized to enter into business arrangements on behalf of the UN. Consultative status does not entitle them to special privileges, tax exemptions, diplomatic passports, etc.

Q. Are NGOs in consultative status entitled to use the UN logo?

NO!, they are not. Not unless the NGO obtains a written authorization from the UN Office of Legal Affairs first. Under no circumstances is this permission granted for use on stationery or business cards.

キッチリ書いてある: たとえば、UN のロゴを使うのはすごい!ことで、特別だかなんだかいうしょぼい資格じゃ「名刺に使う」って申請したって許可が下りることはあり得ない、ってさ。

お?私は NAUI のロゴを使う資格があって、名刺に使ってもいいんだったよな。って、関係ない?(笑)
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Comments 1

さんのコメント...

この記事を書いたあとで、2006-10-20に、札幌市西区に在る西野神社さんが書いたブログのエントリを発見しました。

「ピースボートの "中ポス" を神社に貼らせてくれ」って頼む行為そのものが「ボランティア」の "無知" を曝け出していたんですね。そして、ボランティアの方、1枚1000円の報酬だそうですが、Peace Boat の組織(あれ?広告は旅行会社の業務だから Japan Grace?あれ?おかしいな、どっちだろう?)に貰ったんでしょうか?(笑)