2009-07-28

天皇陛下の魚類学ご研究 を見に行った

東京海洋大学(品川: 旧東京水産大学)で7月30日まで開かれている特別展示を見に行って来た。

大学の水産資料館の2階の、少し埃っぽい常設展示物たちが傍らに寄せられ、空いた空間にきらびやかに展示されていた: 論文の別刷り全種類、写真や説明のパネル、そしてご研究に使用された標本、などなど。

論文のコピーが閲覧できるようになっていたので、椅子に座って斜め読み。たぶん、1時間以上はそこに居た。

ときどき、15人ぐらいの団体さんがざざざっと訪れ、ぱっと一周して帰って行く。一体、なんなんだろうか?お役所関連かな、とは思う。「植樹祭の写真集」みたいな、私の興味外の展示場所で、彼らは立ち止まり「海洋大はこの本、完璧に揃ってるんですね」と感心してたし。

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分類学といえば。

生物分類学の創始者リンネは、進化論のダーウィンより先だ。だから、リンネは、「神の創造した」生物を分類することにより、神の意志(存在)を明らかにしようとしたのが本当のところだ。実際、リンネの本
O JEHOVA
Quam ampla sunt Tua Opera!
Quam sapienter Ea secisti!
Quam plena est Terra possessione Tua!

(扉の直後。綴りはこれでいいのかな?)
という類の頌で溢れており、これらはどう見ても、神 JEHOVA を讃える言葉にしか見えない。

しかし、ダーウィンによって、分類学は「神学」から切り離され「科学」となった。

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まあ、でも、なんとなく今でも高貴な感じが漂う分野なのは気のせいだろうか。

天皇陛下は、世界で初めて「とくに頭部感覚器に注目しハゼたちを精密に分類する」という手法を編み出したのだそうだ。もちろん、最近では「分子生物学」の論文もあるが。

標本が展示されているという話を知っていたので、実は Exyrias akihito の標本がないかな、とちょっと不謹慎な期待をしていた。さすがにこれは無かった。なぜなら、Exyrias akihito の模式標本を作って研究したのは Allen 先生と Randall 先生だから。

写真は、アカオビシマハゼの標本。それまでシマハゼとして一緒くたにされていた魚を、アカオビシマハゼとシモフリシマハゼに分類し、標準和名を与えた (1989)。沖縄名産の「すくがらす」に見えなくもないが、違うよ、食べちゃだめ。(笑)
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