2009-06-15

模範になってなーい

これこれになんとなくぼんやり書いた先月末の顛末に追記。

このときには何の因果か、次のような問題を解かされるはめに陥っていた。リアルさが増す(?)ように、実物の問題用紙をスキャンした形の画像で下に提示:


物理とか化学の好きな方は、以下を読む前に、もちろん、まずご自分でチャレンジだよ(笑)。難易度は、高校3年生(超優秀)〜大学2年生(普通)程度。制限時間30分(時間内にできないようなら無理なのであきらめて答を見よう)。

--- 注意:この下には解答が晒されています ---

熱力学がよく分かってないと、(2) はちょっと苦しいか。でも、(1) はいくらなんでも簡単すぎだ。 (2) さえできれば (3) はできたも同然。

というわけで、この問題は実質的に (2) だけが問題。特に (1) は受検者へのサービス、と解きながら思っていた。

次に、 (2) の解答として私が答案に書いたものをほぼそのまま載せておく。
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Work, pressure, Volume のそれぞれ頭文字を記号として用いる。外部仕事の定義より、


圧力一定の下で両辺を積分し (添字で、その温度 ℃ での状態を表し)、理想気体であることを用いると、


[ここで、絶対温度 K の目盛りは ℃ と一緒だから 273.15 のことなんか忘れても差は 100 だ は気体定数で、(SI単位系での)値 8.3144... は憶えていないと結果が出せない(☆)。そして、おそらく要求されている有効数字は3ケタだよなぁ、と電卓叩いて] 答 1663 J
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まあ、自信はありまくりだったのだが、出題者が今日ようやく「解答例」というのを某所にアップしたので、念のため覗いてみた (今回のエントリの主題に関係のない (3) の部分は画像から割愛):


よかったぁ。正解で。

でも、うーん。。。。この公表された解答例は


と計算している (カッコの中を先に数値にしたのが 0.336)。けっきょくは、私と同じロジックになってるけどさぁ。偉い人が何人かでチェックしたはずの模範解答としては、本質が分かりにくく、汚すぎだよ。

見てびっくりだったのが、出題の意図として、(1) は (2) のヒントのつもりだったらしい!? ということ。(1) の答には(273.15 を 273 に丸めたり、割算したりの)誤差が入ってるんだし、 298 で割ってから 298 を掛けるなんてセンスのない計算して誤差を増やすな、と、ここで逆に私が叱っちゃったりして。
ご返済と代入は計画的に

というわけで、今日も 2009-05-21 と同じく、日本の科学技術の将来を憂えてしまいました。(涙目)

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☆ 細かい注意: 気体定数の代わりに、Avogadro定数とBoltzmann定数の両方を憶えてたら、そのほうがカッコいいと思う。
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