[Photo: Periclimenes amboinensis, Pulau Tomia, Sultra, Indonesia. Aug.2005]
このエビの学名 P. amboinensis はインドネシアの古い港町 Ambon に由来し「アンボン産の」という意味だ。実際、
川本剛志、奥野淳兒
エビ・カニガイドブック2 − 沖縄・久米島の海から
(株)阪急コミュニケーションズ、2003年7月17日 初版
において標準和名が提唱されるまでは、小さくて綺麗なこのエビのことを、マニアなダイバーたちは勝手に "アンボン・クリノイド・シュリンプ" と呼んでいた。(ただし、クリノイド = crinoid はウミシダの意。)
分類学では、新しい学名や標準和名を付ける際、命名の由来も記すことが推奨されている (参考: ICZN Appendix B. 5)。上に掲げた 川本・奥野(2003) p.155 によると、標準和名の由来は、
本種の色彩は宿主によって大きく異なるが、原色の複雑な模様を呈している個体が多い。戦国時代の武将にみられる派手な化粧や服装をした振舞いを「ばさら」と言うが、本種の模様をそれに見立て、バサラ(婆娑羅)カクレエビの名前を提唱する
とある。
南北朝時代の武将で、婆娑羅すぎて「バサラ大名」とまで呼ばれてしまったのが佐々木導誉だ。一昨日、ちょっとした個人的事情で、日本史の参考書をパラパラめくっていて発見した。この参考書には「バサラにはダイヤモンドという意味があるという」とも書いてあった。
分かった!そういうことなら、バサラは vajra (サンスクリット語。वज्र) が語源だ。意味はまさにダイヤモンド。タイ語でも phét (เพชร) という語として借用されている。(ただし、タイ文字の綴りを見ないと、発音「ペッ」がどうして vajra に関係するかは全く分からない。)
というわけで、こういう些細なことで喜んで、素晴らしきムダ知識を1つ仕入れたのだった。(笑)
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[Photo: Cycloes granulosa, Is. Ani, Ogasawara, Japan. Dec.2008]
そういえば、頭という表題のエントリで書いた、カラッパに近い仲間のカニ「カラッパモドキ」の写真があったので、載せておく。カラッパはインドネシア語の kelapa に由来するという話を書いたのだった。
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