眼点 2009-12-13 ダイビング,個人的な好み,小笠原,生物
水中写真の「お題」 2009-12-12 ダイビング,小笠原,生物
ウミウサギガイ科の… 2009-11-30 ダイビング,小笠原,生物
幼魚のときは… 2009-11-28 ダイビング,小笠原,生物
食うか食われるか 2009-11-27 ダイビング,小笠原,生物
12種類の色+偏光 2009-10-28 ダイビング,生物
天皇陛下の魚類学ご研究 を見に行った 2009-07-28 ダイビング,生物
Rhinoptera javanica 2009-07-24 ダイビング,小笠原,生物
猛毒誤認 2009-06-27 ダイビング,生物
妖精と虹とその関係者たち 2009-06-24 ダイビング,生物
エビ媒花 2009-06-21 ダイビング,個人的な好み,生物
おいしい炭焼き 2009-06-07 ダイビング,生物,料理
生物多様性 2009-05-07 ダイビング,英語,自然言語,生物,旅行業
「日本のハゼ」校訂表を作ってみた 2009-03-05 ダイビング,自然言語,生物
DNA gyrase 2009-02-03 ダイビング,小笠原,数学,生物
学名とは 2001-11-23 ダイビング,自然言語,生物


2009-12-13

眼点


(Photo: Primovula sp., Is. Chichi, Ogasawara, Japan. D -15m)

今日も潜っていた。普通に、魚の群れだとか、珍しいハゼだとかハナダイだとかも見た。

しかし、今日の一枚は上の写真。コダマウサギガイに近い種類だが、微妙に違う。P. roseomaculata かなあ。

普通に撮影するのではなく、昨日と同様、眼点にピントを合わせてみた。ストロボが透過光になってしまったのは、偶然。左端に卵らしきものが写っているのも偶然。

結果として、日本画のような味わいの写真になったではないか、と自画自賛。(笑)

ちなみに、撮影場所は激流でした。(大笑い)

2009-12-12

水中写真の「お題」


キホシウロコウミウシ

上の写真は父島の某ダイビングサービスの本日のブログの写真と同じだ。なぜなら、撮影者は私で、提供したのだから当然である。

今日は3本潜ったのだが、2本目でこのウミウシを見つけてしまった。見つけた(見た)のは今までで2回目だから、けっこう稀な種類のウミウシだと思う。大きさは8mmほど。シルトまじりの砂地-9mで。

今日の3本目は、これの写真を撮るためだけに海に入り、1時間をかけた。そんなにまでして、この程度の写真かよと笑わば笑え。

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ヒントも何もない水中で、被写体を自分の眼で見つけ、しかるべきアングルでそれを撮る。この作業には、「お題」を自分で考え、俳句やら和歌やらを詠むのに通じる世界がある。

被写体が自分の外部にある分、文芸より難しい(易しい)。

撮影者の意図を語るのは野暮だが、一句:「眼点にピントを合わせ、小ささをむらさきいろの貝殻に乗せ」

2009-11-30

ウミウサギガイ科の…



(Photo: コボレバケボリ, Dentiovula colobica, D -28m, Is. Ani, Ogasawara, Japan)


写真の貝は、ウミウチワの仲間にくっついていて、宿主の表面を食べて生きている。枝をよく見ると、左側は齧られていて、右側は齧られてない。


貝の外套膜が、宿主とそっくりであることに驚く。なにしろ、ポリプ(触手)の形に至るまで真似をしているのだから。


海の中は不思議でいっぱいだ。

2009-11-28

幼魚のときは…



右はヘラルドコガネヤッコの幼魚。成魚になると、目の周りが黒くなって、「なんだか最近疲れたの」みたいな顔になる魚だ。でも、この大きさ(約7cm)なら目のまわりにくまもない。うらやましい限りだ。(笑)

左はミノウミウシの仲間(えーと、いま手元にないので調べる気がでないが「伊豆のウミウシ」という図鑑の「ケイウミノウミウシ」の次に載ってる種だ)。黒い耳のような触角の根元に「眼」のようなものがある。これは眼点といって、本当に眼の役割を果たしている。ただし、明暗くらいしか認識できないという話だが。

台風の行方が気になる。

アメリカの予報では東に方向を転じて父島の南方を1日に通過する。これは最悪のコースだ(台風は左半円が危ない)。一方、日本の気象庁の予報では西へ進み続ける。

さあ、日米予報対決。スーパーコンピューターの性能の差で、たぶん、アメリカの勝ち。

2009-11-27

食うか食われるか


本日も強風。兄島・滝之浦で、まったり3ダイブ。

船長もガイドもお客も関係なく、てんでんばらばらにカメラを持って、好きなところで好きなだけ粘って撮影。

写真は、砂地で出会った光景。エソがハギを食べてた。飲み込まれているハギが鰭で突っ張ってがんばってる。口もぱくぱく動いてた。

見てないところで、いろんなドラマがあるんだね。この後、エソとハギがどうなったか?は知らない。見届けていたら、窒素がたまって、私が減圧症になっちゃう。

明日も、こんな感じかなぁ。

2009-10-28

12種類の色+偏光

ITmedia News の 2009-10-26T22:21+09:00 の記事より引用:
…(省略)…オーストラリアのグレートバリアリーフに生息するシャコは、12種類の色を知覚できる最も複雑な視覚システムを持っている。人間の目が認識できる色はわずか3種類(赤、青、緑)だ。さらにこのシャコは、さまざまな形の偏光(光波の振動の方向)を識別できるという。

この優れた視覚能力は、シャコが光に敏感な特殊な視覚細胞を持っているためだ。…(省略)…

前にも書いたが、シャコの目ってすごい。上の記事によると、偏光のみならず、12種類の色に対応する錐体細胞があるという風に読める。

元記事は ITmedia のなので、「だから、シャコの目を研究すると、ITの技術に貢献するのだ」という論調なのだが、そこらへんは、上の引用でばっさりカット。そういう、研究費寄せの空虚なお題目に興味ある方は原文をどうぞ。(笑)

左の写真も元記事からの引用。「オーストラリアのグレートバリアリーフに生息するシャコ」と書かれると、おっ、固有種か?と思うのだが、どうみてもモンハナシャコなのだが。

今日の記事も、内容があまりありませんでした。シャコってすごいなあ。(一応、話の結論はそういうことにしておくのです。)

2009-07-28

天皇陛下の魚類学ご研究 を見に行った

東京海洋大学(品川: 旧東京水産大学)で7月30日まで開かれている特別展示を見に行って来た。

大学の水産資料館の2階の、少し埃っぽい常設展示物たちが傍らに寄せられ、空いた空間にきらびやかに展示されていた: 論文の別刷り全種類、写真や説明のパネル、そしてご研究に使用された標本、などなど。

論文のコピーが閲覧できるようになっていたので、椅子に座って斜め読み。たぶん、1時間以上はそこに居た。

ときどき、15人ぐらいの団体さんがざざざっと訪れ、ぱっと一周して帰って行く。一体、なんなんだろうか?お役所関連かな、とは思う。「植樹祭の写真集」みたいな、私の興味外の展示場所で、彼らは立ち止まり「海洋大はこの本、完璧に揃ってるんですね」と感心してたし。

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分類学といえば。

生物分類学の創始者リンネは、進化論のダーウィンより先だ。だから、リンネは、「神の創造した」生物を分類することにより、神の意志(存在)を明らかにしようとしたのが本当のところだ。実際、リンネの本
O JEHOVA
Quam ampla sunt Tua Opera!
Quam sapienter Ea secisti!
Quam plena est Terra possessione Tua!

(扉の直後。綴りはこれでいいのかな?)
という類の頌で溢れており、これらはどう見ても、神 JEHOVA を讃える言葉にしか見えない。

しかし、ダーウィンによって、分類学は「神学」から切り離され「科学」となった。

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まあ、でも、なんとなく今でも高貴な感じが漂う分野なのは気のせいだろうか。

天皇陛下は、世界で初めて「とくに頭部感覚器に注目しハゼたちを精密に分類する」という手法を編み出したのだそうだ。もちろん、最近では「分子生物学」の論文もあるが。

標本が展示されているという話を知っていたので、実は Exyrias akihito の標本がないかな、とちょっと不謹慎な期待をしていた。さすがにこれは無かった。なぜなら、Exyrias akihito の模式標本を作って研究したのは Allen 先生と Randall 先生だから。

写真は、アカオビシマハゼの標本。それまでシマハゼとして一緒くたにされていた魚を、アカオビシマハゼとシモフリシマハゼに分類し、標準和名を与えた (1989)。沖縄名産の「すくがらす」に見えなくもないが、違うよ、食べちゃだめ。(笑)

2009-07-24

Rhinoptera javanica

ネタに困ったときの「海の生物エッセイ」。(笑)

Photo at Is. Chichi, Ogasawara, Japan. D -18m, Dec. 2008.

ウシバナトビエイの群れが、季節によっては観察できるダイビングポイントがある。小笠原の父島 (閂島と南島の間) に。

でも、写真はなかなか難しい。この写真は、魚眼レンズを使って自然光での撮影なんだけど、この場所は流れてたり、群れに寄ると逃げられたり。ちなみに、少しは流れていたほうが、トビエイのいる確率は高いという気がする。

この時は、左向こうの奥にいるダイバーと「はさみうち」して、やっとこの程度。

ま、どうしようもないですね。魚眼じゃなくて 20mm くらいのレンズのほうがいいのかもしれない。

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あ、今回のエントリは、「エッセイ」にもなってないですねー。ほんとに困ったなあ。

2009-06-27

猛毒誤認

(Photo: Periclimenes venustus, Is. Hyotan, Ogasawara, Japan.  D -20m. APR 2009)

このエビは、イソギンチャクの毒は平気なんだろうな。

今日、ネットのあちこちを見ていたら、上の写真の背景のハナブサイソギンチャクの毒が palytoxin だというページを発見した。

違うと思う。

手元にある本

塩見, 長島「新訂版 海洋生物の毒 −フグからイソギンチャクまで−」成山堂書店, 2006.

には、ハナブサイソギンチャクの毒は「不明(ナトリウムチャンネル毒の可能性が高い)」 (p. 193, 表6.4) とある。

この本が出てから新たに解明されたわけではないと思う。たぶん、palytoxin と書いている人のページは、スナギンチャクの仲間と混同しているのだ。ハワイの "limu make o hana" があまりにも有名だからね。

実際、ハナブサイソギンチャクに素手で触っている人を目撃したことがあるが、あとできいてみたら、なんともなかったようだ。まったくお勧めしませんが、「猛毒」というわけではないらしい。(上記の本 p. 205, 表6.5 には ミナミウメボシイソギンチャクの毒性の 640 分の1 にすぎないというデータもあるよ。)

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今日も読んだ方から「何でおまえはそんな本を持ってるんだよ」ってお小言を頂戴しそう。海の生物のエッセー風に書いてみました。(笑)

2009-06-24

妖精と虹とその関係者たち

面倒だった。

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新宿の某水中カメラ用品店で、確か、かなり前に見かけた。そのときに、買おうかどうしようか真剣に悩んだ。

ふと、思いついたら、欲しくなった。新宿のそのお店に行ってみたが、もう売ってなかった。どうやら、品切れ。たぶん新版が出るまで、入荷しないだろう。(新版は出ないかもしれないし。)

Rudie H. Kuiter, Fairy & Rainbow Wrasses and Their Relatives - A Comprehensive Guide to Selected Labroids, TMC Publishing, Chorleywood, UK, (2002).
ISBN978-0-9539097-2-7

London の本屋 Flourish & Blotts The Book Community JP から Amazon 経由でお取り寄せ。ベラ科 (Labroids) の魚を、綺麗めのが多い属に絞って (selected)、包括的 (comprehensive) に掲載した図鑑だ。

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2002 年に出版されているので、もう 6 年以上経っている。当然、内容も古くなっている。

どうせ、学名と和名の対照表は必要になるので、学名が valid かどうかも主に Integrated Taxonomic Information System (ITIS) で調べて、まとめて表にしてみた:

Kuiter, 2002 [和名対照・校訂表 rev. since 2002] v.24JUN09

公開にあたっては、Google ドキュメント を使った。 HTML や CSV や XLS 形式で校訂表のデータを読み出すこともできる。

自分で使う用に作ったので、誤りがあっても責任は持たない。メンテナンスも気が向かないとしないかもしれない。もしも、持って行く方は、ご自由に。再配布、改変も勝手にどうぞ。

2009-06-21

エビ媒花

甲殻類(エビ、カニなどを含む生物のグループ。たぶん、甲殻亜門と言ったほうが正確)について、調べていた。2008-12-30 に、Sapphirinid copepods という題のエントリを書いたが、それがきっかけで甲殻亜門に関して「目覚めてしまった」のかもしれない。

そこで、今回は、最近私が知った、2つのことを書こうと思う:--

1.
(Photo: Aspidistra elatior Blume. Tijdschr. 1. 76. t. 4. (1834) with fruit.)

左の写真の真ん中には "ミカン" みたいなものが写っている。これは今日、うちの近所で発見した、「ハラン」という植物の果実だ。

ハランは、Wikipedia に書かれているように、家屋の周りの日陰によく植えられている観葉植物だ。弁当を買ったときに、おかずとおかず、おかずとごはんがくっつかないように入っている、上がギザギザの緑色のビニール。あれは「人造バラン」(略してバラン)というが、もともとはビニールではなく、植物のハランを切って作られていたのでこの名がある。高級な寿司屋とかに行くと、今でも植物のハランのが出てくることがあるらしいが、私は知らない。(笑)

というわけで、けっこうおなじみの植物であるにもかかわらず、ごく最近 (1995年) になるまで重要なことが解明されていなかった。それは、

ハランの花粉を媒介するのは、ダンゴムシ

ということ。ミツバチやら鳥やら風やら水が花粉を媒介するのではない。既に示した Wikipedia の該当ページにもこの記述がある。(ちなみに原論文を読もうと思ったら、雑誌 Nature に載ってて、お取り寄せができない。。。この高慢な雑誌、何か変で、いやーな感じが漂っているなぁ。)

ダンゴムシは、甲殻亜門の生物だ。海の中だけではなく、陸の上にだって、エビ・カニの仲間はいるのだ!とはいえ、ダンゴムシは 等脚目 (Isopoda) だから、エビ・カニとはかなり遠いが。。。フナムシやワレカラ(前者は陸、後者は海に居る)には近い。

2.
(Photo: Possibly Pseudosquillia ciliata, D -12m, TL 40mm, Is. Ani, Ogasawara, Japan)

左は、ダイバーがほとんど注目していない、シャコの一種の写真だ。珍しいものではなく、ごく普通に居る。ただし、小さいし、もし、全身を出していたとしたら、動きがすばやいので、観察したり写真を撮ったりするのは困難だ。

この写真の個体は、たまたま、同じ場所で、体をひねったり、ジャンプしたりしていた。脱皮の直前かなにかだったのか?そういうわけなので、きっちり撮れたこと自体がなかなかの幸運だと思う。

このシャコもそうだが、シャコの類は眼に特徴がある。穴から警戒しながら頭を出し、外を見ているシャコの眼は、他の生物にはない、独特の動きがある: 眼柄の先の目玉が回るし、眼の模様も回ってる気がする。

Wikipedia のシャコの項目に「シャコは、円偏光の回転方向を識別できる。2008年6月現在、円偏光を感知できる生物は他には見つかっていない」という記述がある。この内容は、

Tsyr-Huei Chiou, Sonja Kleinlogel, Tom Cronin, Roy Caldwell, Birte Loeffler, Afsheen Siddiqi, Alan Goldizen, and Justin Marshall, "Circular Polarization Vision in a Stomatopod Crustacean," Current Biology, 18(6), pp.429-434 (Mar. 25, 2008)

という、去年発表された論文に書かれている。Current Biology という雑誌は、もちろん、ネットから無料で閲覧が可能だ。

シャコのあの独特の目つき。自前の円偏光フィルターをぐるぐる回して、世界を眺めていたとは!!

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以上、比較的最近に発見された、生物学的な「豆知識」2つでした。甲殻類ってすごいなあ♪

2009-06-07

おいしい炭焼き

すみやき という魚を売っていたので、購入。

値札には500円とあったが、夕方だったので、2切れで800円にしてくれた。というか、見てたら、魚屋の威勢のいいおばちゃんに「2切れ買って行きな」って押し切られただけなんだけどね。

帰ってから量ってみた。合計で186g。うわっ、おしつけ より高級魚だったんだ。

魚屋さんのおすすめとして、値札に、煮魚、焼魚と書いてあった。そこで今回は煮魚にしてみたのが上の写真。1切れしか写ってないのは1切れ食べちゃったあとで「あ、 blog のネタの写真撮ってない」と気づいたから。(汗)

うまーい!とろとろしていて、ふわふわしている。鋭く長い上肋骨(魚を三枚おろしにしたときに切ることになる骨)があり、ちょっと食べにくい。でも、それだけしか欠点を見いだせない。また、気が向いたら、買わなきゃ。

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すみやき は地方名。正式には、
標準和名 クロシビカマス
学名 Promethichthys prometheus (Cuvier, 1832)

煮付けられた切り身の写真ではなく、この魚全体の画像とか分布域とかの情報は FishBase にあるから見てね。

すみやき の幼魚は けんけらけん というそうで、干物にするそうだ(ぼうずコンニャクさんのところの情報)。けんけらけん の干物は、まだ発見していない。この魚屋さんに出たらゲットしようと張り込んではいるのだが。って、気が向いたときだけ、この魚屋さんに寄ってるにすぎないけど。。。:)

上記の FishBase でも分かるように、深海魚で、分布域は広い。ふと思い立って、「クロシビカマス」で、たった今、ググってみたら、各地で食用になってるじゃないか。日本だけじゃなくてサモアとかも。スーパーで売るようにしたなんて新聞記事も。あ、干物も通販で売ってるぞ。

というわけで、実はけっこうメジャーな魚でした。知らなかったのは私だけ?でも、通販であこがれの干物を買ってしまっては、水族館でジンベイザメを見るような(!?)ものなので、魚屋さんの監視は継続するのだ。

2009-05-07

生物多様性

この blog の2009年4月29日の記事を書きながら、いろいろ調べていた。

メカジキが記載されたのは、 "動物" の学名の原点たる

Caroli Linnæi... Systema naturæ per regna tria naturæ, secundum classes, ordines, genera, species, cum characteribus, differentiis, synonymis, locis. Tomus I. Editio decima, reformata. Holmiæ, Impensis Direct. Laurentii Salvii, 1758.

に於いてだ (p.248, l.-4)。つまり、 Xiphias gladias は "動物" の学名としては世界最古のうちの1つなのだ。

上記の本をスキャンしたものが、 Biodiversity Heritage Library から無料でダウンロードできる。ネットって本当に便利だ。

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ここで出て来た "biodiversity" という英単語は、海外のダイビングリゾートの宣伝文句にしばしば含まれる単語だ。この場合は、要するに「海の生き物がいろいろ居まっせ」という意味なのだが、ちょっとシャレて

bio-diver-sity

などと書いてあることも多い。なにしろ、 diver 向けの宣伝なのだから。

このシャレを「日本語訳」してみた:

いぶつのいろル」

これでは、無理があり杉?

2009-03-05

「日本のハゼ」校訂表を作ってみた


とってもすごい図鑑が1冊ある:

ja: [S3Y] 瀬能 宏 監修, 鈴木 寿之, 渋川 浩一, 矢野 維幾 著「決定版 日本のハゼ」平凡社, 2004.
en: [S3Y] H. Senou, T. Suzuki, K. Shibukawa and K. Yano, A Photographic Guide to the Gobioid Fishes of Japan, Heibonsha, Tokyo, Japan (2004). (in Japanese)

(英語で書かれた学術論文にもしばしば引用される図鑑なので、書誌情報は日英併記にした。以下同様。)

写真は絶対あり得ないほど美麗だし, 解説は依拠した論文等が明記されているし, 本当に決定版だと思う。

ただし、印刷物なので、未記載種が記載されたりとか標準和名が付いたりという新しい変化には、読者ひとり一人が対応しないといけない。(もちろん「何も対応しない」というのも読者の自由だ。つまり、「あの魚なんていうの?」「あれはコバンハゼ属の1種-2です」でお互いに分かり合えるのならそれはそれで充分だ。)

自分で使うために、出版以来の変化を、おもに日本魚類学会で公開されている情報に基づいて、

新旧校訂表 [S3Y revision since 2004] updated: 03 Apr 2012
PDF format
DOC format

にまとめてみた。どちらも、内容は同じ。

持って行きたいかたはご自由にどうぞ。再配布や改変も無断でご自由に。このサイトを明記する必要もありません。

ja: 免責事項: この PDF ファイルは、何かの役に立つことを期待して、あるがまま公開されていますが、誤りがあるかもしれません。内容を信じたことなどによる損害などには責任は負いません。
en: Disclaimer: The revision is made by myself, a goby-lover, without any authority. The document is distributed AS IS in the hope that it will be useful, but WITHOUT ANY WARRANTY.

ご利用は自己責任で。

もし、内容に誤りがあったら教えていただけると嬉しいけど、魚類学者じゃないのでどの学名が valid だとかそういう面倒くさい論争はしないよ。

将来、校訂表が更新される際には、このエントリで、日付は動かさずに公開します。この blog 右段からも到達できます。更新のお知らせはこのエントリのコメントでします(つまり、フィードに subscribe すれば自動的にお知らせを受け取れます)。

追記:この blog 内に「学名とは」というタイトルで既に公開した記事もありますので、もしよろしければお読みください。


2009-02-03

DNA gyrase



昨日の記事の件。潜水しないお医者さまには各種説明の面倒の香りの可能性が高いので、電車を乗り継ぎ、 DAN で調べた耳鼻咽喉科へ。

(付記:ダイビングに理解のある医師の居る病院が DAN Japan で検索できてしまうが、建前上は会員専用。ちなみに私は会員。ダイバーなら会員になることを考慮すべきと思う。)

離島の診療所にはあり得ない、耳/鼻/咽喉 専用の目眩くハイテク医療器具たち。外耳の奥だって拡大して巨大フラットパネルディスプレイでみんなで鑑賞できる。でももう、まる3日経っている。だからそれで見えるような穴は鼓膜に無かった。ほとんど塞がっているということらしい。ただ、外耳気圧を変化させる鼓膜振動度検査では「空気が抜けてます。セットし直してください」と出てた。外耳を塞いで圧かけても耳管から抜けちゃう。

X線だの {気|骨} 導の聴力だのも検査。健康なはずの左耳も低周波方面が軽く不自由なのはご愛嬌。また、職業欄に何も書かなかったので「漁師ですか?」と訊かれた。外耳道がかなり細いから海によく入る人、そう思ったらしい。

キノロン系で細菌の輪状 DNA の複製を妨げ、副腎皮質ホルモンで炎症を押さえる。そういう処方になった。ただし、キノロン経口投与なので、胃とか腸とかに普通にいる細菌もひっくるめて全部死んでしまう。それを補う薬も山盛り。ヨーグルトとかサプリ食べた方がいいかなあw。ついでにめまいを押さえる薬も処方された。確かに、微妙に世界が回り続けている感覚を、昨日、おがさわら丸が着岸した竹芝桟橋からバイクで走って信号で止まる瞬間毎に特に感じた。後輪が右に滑る感じがしたのだ。

そういえば、小笠原診療所で貰った点耳薬のオフロキサシンもキノロン系。真核生物と細菌の DNA のトポロジーの違いを利用する夢の新薬だったんだね。

(上の写真:輪状DNAに働いて抗菌する薬を輪状菓子屋に置いて撮影した図。)

未来へのリンク:この話の続きは 2/15 に書きました。

2001-11-23

学名とは

[2008年11月15日: 古いハードディスクの中から、下のような文書が出て来た。誰かの参考になるかもしれないので、 ここに本来の作成日の2001年11月23日付で公開。ちなみに2001年に書いた原文で「メクラウナギ」となっていたのは最近の名前に訂正した。昔からの固有名詞にめくじらたてなくてもいいと思うんだけどね…]

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この文書の内容は、おもに「日本大百科全書」 (小学館、1998) に頼って書かれています。しかし、もしも誤りがあったら、それはこの文書の筆者のせいであって、原書の誤りであるはずがないと思ってください。また、 植物/細菌/ウイルス の学名の付け方に関しては以下の説明とそれぞれかなり異なるところがあります。この文書では簡単のため、動物の学名の付け方に話を絞って説明していくことにします。海の生物にはたいてい動物の学名の付け方が適用されますが、たとえば(ほとんど全ての)藻類には植物の学名の付け方が適用されます。

生物の各種類には、世界中で共通に用いられる名前が生物学者たちによってつけられています。しかし、この世界共通の名前は、ラテン語またはラテン語のような綴りの名前ですので、日本人にはあまりなじめないものでもあります。たとえば、日本でブリとふつう呼んでいる魚は、世界共通の名前として、
Seriola quinqueradiata Temminck et Schlegel, 1845
という名前を持っています。

この例では「ブリ」にあたる、日本で広く使われている名前のことを、和名 (あるいは、標準的に使われているという意味で標準和名) と言います。注意しなければいけないのは、日本では、たとえ同じ魚であったとしても、その地方ごとにいろいろな呼び方をしていたりすることです。また、同じ魚 (例えばブリ) であってもその大きさによっていろいろな名前 (ハマチだのトドだの) で呼ぶことさえあるということです。地方とか大きさで異なってしまうようなそういう呼び方は、標準和名とは言いません。標準和名は一種類の魚に対して一つだけ定まるべきものなのです。ところで、ブリは「ぶり」とか「鰤」とも表記できますが、標準和名というときには、必ずカタカナを用いて「ブリ」と書くことになっています。

さて、ブリには Seriola quinqueradiata Temminck et Schlegel, 1845 という世界共通の名前もあると、前に書きました。このような世界共通の名前のことを学名と言います。

ここでいくつか、標準和名と学名の例をあげましょう。

マイワシSardinops melanostictus (Temminck et Schlegel, 1846)
ネコザメHeterodontus japonicus (Maclay et Macleay, 1884)
ホソヌタウナギMyxine garmani Jordan et Snyder, 1901
アキアナゴGorgasia taiwanensis Kao, 1991

上で、マイワシ、ネコザメ、ホソヌタウナギ、アキアナゴの部分が標準和名で、残りの部分がそれぞれの和名に対応する学名です。学名は、「その生物が含まれている属の名 (つねに大文字で始まる)」と「その生物を他の生物と区別するために特に与えられた種の名 (つねに小文字で始まる。この部分を特に種小名と呼ぶことがあります)」と「この学名の命名者」の3つをこの順に並べて表記すると決まっています。たとえば、マイワシの場合は、

マイワシが含まれている属の名(大文字で始まる)Sardinops
マイワシを他の生物と区別するために特に与えられた種の名(小文字で始まる)melanostictus
マイワシという生物に学名を付けた人(Temminck et Schlegel, 1846)

となっているわけです。

上の例で、学名をつけた人を表す部分に 1846 という数字があります。これはこの学名が公表された年を表しています。 Temminck という人と Schlegel という人が命名者であることが分かります (et はラテン語で、英語の and に相当します)。 Temminck et Schelegel, 1846 というのがカッコの中に入って、 (Temminck et Schelegel, 1846) となっていますね。一方、上にあげたアキアナゴの例を見て下さい。アキアナゴでは、命名者の部分は Kao, 1991 ですから、カッコの中に入ったりしていません。これはいったいどういうことなのでしょう。誤植なのでしょうか? 実は名前にカッコがついたものは、命名者が学名を公表したあとで名前が変更になっている場合を表しています (名前の変更は、研究が進んだ結果、いままで別の種と思われていたのが同じとみなされるようになったり、その生物の含まれる属を変更する必要が生じたり、属が統合されたりすると起こります)。カッコがついていない場合は、最初の命名者がつけた名前そのままであるというわけです。

ところで、同じ種類の生物なのに地理的な分化が生じて、亜種が認められていることがあります。こういうときには、亜種を区別するために、たとえば、次のような学名を付けます。

アユPlecoglossus altivelis altivelis Temminck et Schlegel, 1846
リュウキュウアユPlecoglossus altivelis ryukyuensis Nishida, 1988

この例で、 Plecoglossus altivelis の部分が属の名と種の名であるのは亜種のない普通の学名の場合と同じです。そして、その次にある altivelisryukyuensis が亜種を区別するための名前というわけです。ちなみに、 Temminck et Schlegel, 1846Nishida, 1988 の部分が命名者を表していることは、すでに説明した場合と同じです (亜種名は小文字で始まるので、命名者の項目と紛れるおそれはめったにありません。van Hasselt などの小文字で始まる人名の場合にだけ注意が必要になります)。

亜種の場合と似ていますが、属が亜属に分けられている場合もあります。たとえば、 Siganus という属や Acentronura という属は亜属に分けられています。すると、そこに含まれる生物は、たとえば

ヒフキアイゴ Siganus (Lo) unimaculatus (Evermann et Seale, 1907)
タツノイトコAcentronura (Acentronura) gracilissima (Temminck et Schlegel, 1847)

のような学名を持つことになります。属の名と種の名の間に、カッコで囲んで (Lo)(Acentronura) と記されていますが、これが Lo 亜属や Acentronura 亜属を表します。タツノイトコの例では、亜属の名前 Acentronura と属の名前 Acentronura は一致してしまっています (このような亜属を代表亜属といいます) が、これはもちろん特別な場合で、一般には同じにはなりません。

印刷に関する注意:命名者より前の部分は、印刷の際に可能なら「イタリック体」(斜めの字体)にする約束です。ブラウザ依存ですが、この記事では該当部分をイタリック体にしてあります。ちなみに、この記事では色分けもしてありますが、理解のためであって、約束事ではありません。イタリック体にすることによって、既に述べた細かい問題点「人名が小文字で始まる場合、亜種の名と紛れる」が回避できます。
例: Clibanarius longitarsus de Haan, 1849
また、誤解の余地が無い場合は、命名者の部分は省略することができます。
例: Clibanarius longitarsus
さらに、すでに述べたのと同じ属の別の種に言及する場合で、誤解の余地が無いときには、属の名を頭文字だけにして書いても構いません。
例: タテジマヨコバサミ C. striolatus

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究極の厳密さを求めるマニアのためのリンク集

[かつての生物分類学における]動物と生痕化石 (ichnofossils):
ICZNInternational Code of Zoological Nomenclature, Fourth Edition (国際動物命名規約 第4版) の英語での正本の全文を閲覧できる。ソフトカバー版の日本語での正本 (同一内容のハードカバー版は絶版) も存在し日本分類学会連合から送料込2500円で頒布されている。(注意:日本語版は翻訳ではなく正本である。)

[かつての生物分類学における]植物:
IAPTInternational Code of Botanical Nomenclature (国際植物命名規約) の英語正本の全文を閲覧できる。6年毎に定期的に改訂され、最新は2005年の "Vienna Code"。日本語訳の公式版も存在し日本植物分類学会から送料込2500円で頒布されている。(注意:日本語版は Appendix IIA 〜 V を訳出していない。)

真正細菌古細菌:
NCBIInternational Code of Nomenclature of Bacteria (国際細菌命名規約) の英語正本の全文を閲覧できる。日本語訳が菜根出版から世に出たが出版元倒産のため絶版。

ウイルスレトロトランスポゾン:
ICTVThe International Code of Virus Classification and Nomenclature の全文を閲覧できる。ウイルス関連の洋書にこの全内容を含むものがあるが、値段がぼったくり。(汗)